Once upon a time there was this little boy. And the boy has a big dream. Cutting a long story short, he got to Ehime which is in Shikoku area in Japan by his bicycle from Tokyo in the middle of the winter at the end of 2010. It is said that there are 88 pilgrimages in Shikoku and it's pretty popular in Japan. So what he and his mates decided to do first to make one of their dreams come true is to go through all the 88 places and find favorite cafes using his own legs and tongue along the way of the pilgrimage. It names is 88 cafe. It starts on the 29th of January 2011.

2011年3月6日日曜日

cafe 和(なごみ)
















































噂には聞いていた。


メガネの三城の交差点を東に進んで、突き当たりを右に曲がって、ずーっと真っすぐ行くと石垣があって、そこをぐにゃりと左に曲がる。

宇和島に来てもうすぐ1年経つが、こんなところに来るのは初めて

市内より少し小高いところにあるのどかな住宅街にcafe「和(なごみ)」はひっそりと佇んでいた。

店の前には沢山の花が飾っている。

昼過ぎの店内には丸い窓から柔らかい少し傾いた太陽が入ってくる。

空気中の微粒子がゆっくりと彷徨っている。

誰もいない。

ここの時間は普段の何倍にもゆっくり流れている。

土間、板の間、立派な梁、日本建築に必要な物がそこにはある。

違う物と言えば、かまどがあるであろう場所に立派なカウンターとコーヒーを入れる機械が置いてある。

しばらくするとオーナーが出て来た。

もう3時頃だというのにモーニングOKというので、それを注文した。


幸い他にお客さんがいなかったので、オーナーにいろいろと話を聞くことが出来た。

オーナーは定年退職後しばらくは友達と喫茶店でぶらぶらして時間を過ごしていたそうだ。

初めのうちはそれで良かったが、しだいにこれじゃつまらないなと思うようになった。

ふと喫茶店なら自分にも出来るかもしれないと思い立った。

ちょうど家の隣のこの物件が売りに出されていた。

もと酒屋さんだったこの建物は、その昔は鉄砲鍛冶屋だったらしく、とても古くボロボロだった。

建築家の人にこの場所で喫茶店を出来ないかと相談したら、人通りのないこんな場所では流行らないよ辞めときなさいと言われた。

しかし、諦められずいると、若い建築家の人が、「おもしろい、僕がやりましょう。」と手を挙げてくれた。

そうこうしているうちに店はできたけれど、実はコーヒーなど入れたこともなかった。

だからコーヒー教室に何回か通った。

なんとかコーヒーを入れられるようになったけれど、今も詳しくない。

2種類しか置いていないのはそのせいです。

以前お客さんに、「レモンティーを下さい。」と言われ、「置いていません。」と答えた。

レモンティーとは紅茶にレモンを入れる物だと知らなかったのだ。

そんなこともあった。

それでも、もう6年間やっています。

と笑顔で教えてくれた。


店内に沢山飾ってある花々は全てお客さんが持って来てくれるそうだ。

お客さんの8割が同年代らしい。

お客さんに愛されている店。

机の上にはニコリとしたお地蔵さんがある。

ある施設の作家さんの作品だそうだ。

オーナー、建物、花、お地蔵さん、食器・・・全てが優しく、全てがこのゆっくりとした空間を作り出し、来る者を癒してくれる。


癒しが欲しい方、是非1杯いかがですか?

2011年3月1日火曜日

文化交流ヴィラ高橋邸














































友人の部屋に転がっていた1冊の雑誌


何度も読み返したのか、すり減り色あせている。

その存在は以前から知っていたが、手にすることはなかった。

その必要がなかっただけなのか。

それとも自分は他とは違う存在だと思いたかっただけなのか。


旅とは日常からの脱出である。

今まで築き上げて来たものは、心地よさだけではない。

またその心地よさでさえも、時として息苦しさへと変化することがある。

旅とは自由への渇望である。


内子に「文化交流ヴィラ高橋邸」というものがある。

「文化交流」「ヴィラ」「高橋邸」

馴染みの無い単語の複合体である。

内子の古い町並みを眺めながら南にくだり、駅に曲がる角を逆に行く。

すぐに右斜め前に小道がある。

静かに視界が開けると、大きな屋敷が見えてくる。

これが「文化交流ヴィラ高橋邸」である。

 高橋邸とは、遠来の人と時を談じ、文化を語った人高橋吉衡翁の生家であり、日本の麦酒業界の繁栄に貢献し、戦後の経済復興に通産大臣として大きな業績を残した高橋龍太郎翁を育てた屋敷である。

 高橋龍太郎翁の長男故高橋吉隆氏(元アサヒビール株式会社会長)が、郷土である内子町への思いを寄せられていたことから、その御遺族によって寄贈された。

 文化交流ヴィラ「高橋邸」として再生したこの屋敷は、高橋吉衡翁、高橋龍太郎翁の精神を引き継ぎ、遠来の客を迎えるゲストハウスなどとちして利用されている。

 「止談風月無用者可入」(ただ風月を談じるなら、用事がなくても屋敷に入りなさい)という墨書の看板がこの屋敷には掲げられている。


喫茶あります。屋敷に入りなさい。

ここで、珈琲をいただき、愛媛の偉人の魂を感じ、心を昂らせ、日常に帰りなさい。


「るるぶ」

Her name is...


















プルルルルルルル


すばらしい目覚め。最高の朝だ。今日も俺を夢の世界から呼び戻してくれるのは、容赦ない電話の着信音だけで、だいたいそういうのはあいつの仕業だ。


「ついたぞ、出てこい。」


そう、だいたいMだ。夜勤明けの混沌とした鉛のような頭の扉を強引に開けてくる。ノックなしで。というかハンマーでこじ開けてくる。


「これやる。」


結婚式の引き出物がはいっているような大きいサイズの正方形で厚めの紙袋を玄関に置いた。なかには何やら黒いマシンらしき物が入ってる。


「これで修行だ。」


まじかよ。そいつはなんの前触れもなく、俺の前に姿を現した。黒い本体の中央正面にはレバーが付いていて、銀色の光を放っている。その右側には何やらかき混ぜるのが得意そうなこれまた銀色のスティックが付属している。


そう、エスプレッソマシーン


「使わねーから。」


どうやら、エスプレッソ好きのMはどこかでこのエスプレッソマシーンを手に入れたらしいが、自分で作るタイミングを逃したらしく、だんだん飽きて来たようで、要するに俺にコーヒーの修行をさせつつうまいエスプレッソにありつく作戦に出たらしい。



しかも「Saeco」、彼女が出来た。