予想通り、何事もなかったかのように憂鬱は過ぎ去って行った。
型のごとく、発表し、質問され、共同演者の先生に助けられた。
Rとの約束の時間がとうに過ぎた頃、ようやく研究会は終わった。
急ぎ足でロビーに降りるとRが待っていた。
――――――
2人で軽い夕食をすませ、適当なカフェバーに入った。
そこで夢のような現実の話をした。
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計らずしてして店を出るタイミングとなったので、コートを着て、帰る準備を始めた。
いつものクセでポケットに手を入れると、何かが手に当たった。
JRの切符だった。
今回松山まで来るのにJRの往復切符を支給されていた。
帰りは電車で帰るとして、行きはUに送ってもらったので1枚余ることになる。
Rの前に置いてみることにした。
そして、運命は動き始めた。